つむぎのひとりごと。

- 推しゴトと日記を綴ります -

陪審員として観た”検察側の証人”

8月28日(土)

世田谷パブリックシアターにて開幕した

小瀧望くん主演の「検察側の証人

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先日、観劇してきました。

事前情報は以下のあらすじのみで観に行きましたが、

原作など読まずに行って良かったと感じました。

 

【INTRODUCTION】

物語は、容姿端麗な青年レナード(小瀧 望)が資産家で独り身の婦人を撲殺した

殺人容疑で起訴されるところから始まります。

彼は全くの無罪を主張しているものの、状況証拠は彼に不利なものばかり。

――被害者とレナードは、道で困っているところを彼に助けられて以来交流があり、

事件当日も被害者宅を訪ねていたこと、事件当時、彼は無職で金に困っていたこと、

そして、彼には確実なアリバイが無いこと――。


レナードはあえなく逮捕され、敏腕検事のマイアーズ(成河)が事件を担当することに。

彼を裁く法廷が開かれ、法廷弁護人と検事の答弁が白熱の応酬となる中、

唯一のアリバイを妻ローマイン(瀬奈じゅん)が証言する、はずだった。

しかし、法廷に立った彼女から口を突いて出た言葉は、

彼から『婦人を殺した』と告白された、という検察側の証人、としてのものだった……。

 

------------以下、ネタバレを含みますのでご注意願います。------------

 

正直「小瀧くんが出るから…」という理由で観に行った舞台でしたが、

小瀧くんの演技・周りを取り囲む役者さんの演技・構成・演出・そしてストーリー

全てに息をのむ、引き込まれる、圧巻の舞台でした。

 

<公演時間>

第1幕:1時間10分

休憩 :20分

第2幕:1時間

 

舞台そのものは約2時間10分の作品ですが、体感としては本当にあっという間で

かつ2時間10分にまとめているとは思えない程、濃い内容でした。

 

第1幕はレナード(小瀧望)が

ウィルフリッド弁護士(大滝寛)に相談するところから始まります。

無罪を主張しているにも関わらず、状況証拠は彼に不利なものばかりで

呆気なく警察に逮捕されてしまうのです。

 

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彼にとって唯一のアリバイは妻ローマイン(瀬奈じゅん)の一言。

「(婦人の死亡推定時刻)21時半にはレナードは家にいた。」

警察から事情聴取をされた時も、ウィルフリッド弁護士と話した時も

彼女はそう伝えていました。

 

法廷が始まり、現場を担当した鑑識、警部、そして婦人に仕えていた家政婦に

証人として喚問をしていきます。

 

マイアード検事(成河)とウィルフリッド弁護士の攻防が繰り広げられ、

「殺したんじゃないか、いや殺していないんじゃないか」と揺さぶられます。

また陪審員に見立てた観客席に話しかけるようにして観客を裁判に誘うので

人を裁くことがいかにその人の人生をかけたものなのか、ひしひしと感じます。

 

彼が本当に殺したのか、はたまた殺していないのか…。

 

そしてついに、最後の検察側の証人として妻ローマインが登場します。

レナードの無罪を主張するには、絶対に必要だったローマインが検察側として

裁判に登場し、レナードやウィルフリッド弁護士は唖然とします。

 

ここで第1幕が終了。

頭の中を整理させる約20分間の休憩を挟みます。

 

個人的には小瀧くん(レナード)は殺してないはず!と願望がありつつ、

心の底から「僕はやってない!絶対に!」と叫ぶレナードを見ると

無実の罪を着せられた少年にしか見えず、

その後の展開にますます期待が膨らむ休憩でした(笑)

 

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そして第2幕。

 

ローマインが放った一言が

「レナードはあの日22時10分に帰ってきた。」

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もちろんレナードは激しく「ローマインは嘘をついている!!」と主張します。

 

しかしローマインは顔色ひとつ変えることなく、

「彼から”自分が殺した。アリバイのために嘘をついてほしい”と言われた。」

と証言を続けます。どうして彼女は証言を変えたのか…。

 

 

レナードは唯一のアリバイをなくし、どんどん窮地に追い詰められ、

その日の法廷は絶望的な状態で休廷します。

 

ところがその夜、ウィルフリッド弁護士の事務所に

ローマインのことを良く思っていないという謎の女性が現れ、

決定的な証拠となるローマインがある男性に宛てた手紙を売りにきます。

 

そして翌日の法廷、その手紙が証拠として提出されます。

 

そこには

  • 殺された婦人は資産家でレナードが相続人となっていること
  • 実際には21時半に家にいたが、証人は自分しかいないため嘘をつけること
  • そうすれば自分は自由になることができる(レナードから離れられる)こと

と書いてあったのです。

 

ローマインはレナードと離れ、

その男性と一緒になるために法廷で嘘をついたのでした。

 

手紙のおかげでレナードは晴れて無罪に、

逆にローマインは法廷での偽証罪で裁判にかけられることになってしまうのでした。

 

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しかしここで物語は終わりません。

最後の10分程で大どんでん返しが起きます。

 

実はローマインが書いた手紙は

レナードを救うためにわざと作り、ウィルフリッド弁護士のもとに届けたものでした。

 

ローマインは本当にレナードのことをすごく愛していて、

ただ身内の証言となると夫の事をかばっていると思われて信じてもらえないと思い、

このような工作をしたのです。

 

― つまりレナードは婦人のことを本当に殺していた。

 

物語はまだ続きます。

ローマインは彼のことを本当に愛し、どうすれば彼を救えるのか考え抜いて

自分が犠牲となって彼のことを守ったのですが

当の本人であるレナードはというと…

 

ローマインよりも10歳以上若い女の子と不倫していたのです。

婦人の遺産として手に入る大金で豪華客船の旅に行く約束までして…。

 

それを知ったローマインは裁判で証拠品として提出され、置いたままだったナイフで

レナードを刺して物語は終結となりました。

 

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あれだけやっていない!と主張していたレナード(小瀧望)は実は殺していたし、

ローマイン(瀬奈じゅん)は彼のことを本当に愛し、自分を犠牲にして

レナードの無罪を勝ち取るも、最終的に彼のことを殺してしまう…。

そしてその2人の真実と嘘に惑わされ続ける弁護士や検事。

 

思っていたよりもずっと社会派な作品だった…。

様々な人物が対照的に描かれていて、少し揶揄しているようにも感じます。

 

例えば…

最初から本当のことを話していた家政婦(感情的)

レナードを裏切ったように見せて

後から本当のことを明かされたように見せるローマイン(冷静沈着)

 

夫を心から愛し、守ろうとしたローマイン(女性)

愛してくれるローマインを蔑ろにし、若い女性を選んだレナード(男性)

 

そして何が事実で何が事実じゃないのか。

 

終わった後、余韻に浸りたくなるそんな舞台でした。

 

 

そして何より主演の小瀧くん。

まずはやっぱりお顔が良い!おめめキラキラ!背高くて顔ちっちゃい!!

さすが自担!(笑)

 

声もよく通ってて、すぐカッとなってしまいがちなところや

無実なんだと叫び続けるところ全てがレナードそのものとしてそこに生きていて

”人を殺したことを隠して無実を訴えている”というよりも

”本当に人なんか殺していないんだ”と思い込んでいるような揺らぎない目。

でもどこか自分の無実を信じて動いてくれている人に対してあざ笑っているような姿。

 

この青年を約1ヵ月、生き続けるって単純に本当に凄いなって思う。

小瀧くんの周りを固める役者さん方も引き込まれる演技をされる方ばかりで

もう1回くらい観たいなあ。

 

こんな素敵な舞台に、小瀧くんが選ばれたこと

そしてその期待に応えるように素晴らしい演技をしている小瀧くんを見て

勝手ながら誇らしくなった!

 

千秋楽まで無事に駆け抜けられますように。